いろいろな思い出がつまったラベンダー色のダイハツ・ミラココア

人生の中で初めて自分名義で購入した車との出会いから別れまでの物語。

 

私とラベンダー色のミラココアが紡いだ10年間の思い出をご紹介します。

 

 

 

30分で買うことを決めたダイハツのミラココア

初めて自分でお金を出して買った車は、ラベンダー色の軽自動車(ダイハツのミラココア)でした。

 

車の購入は、当時の私にとっては全く計画していなかったことでした。

 

 

 

それまでは姉が乗っていた古い左ハンドルの外車を譲り受け、日常の足として使っていました。

 

デザインはかっこよく、街中で走らせると時々振り返られることもある、少し目立つ車でした。

 

中古で購入した外車だったこともあり、小さなトラブルは多かったものの、私なりに愛着を持って乗っていました。

 

 

 

ある日、いつものように出勤しようとエンジンをかけたところ、不思議な音がして車が全く動かなくなってしまいました。

 

急いで修理工場に連絡したところ、「修理するよりも新しい車を買った方が安上がりですよ」と言われてしまったのです。

 

急に車を買う必要が出てきた私は、正直パニックになりました。

 

 

 

通勤にも必要だったので、すぐに乗れる車を探さなければなりません。

 

ちょうど家から徒歩10分ほどの場所にダイハツのディーラーがあったのを思い出し、その日の夕方、親と一緒に歩いて行くことにしました。

 

 

 

ディーラーに着くと、店内にはいくつかの展示車があり、店外の駐車場にもいくつか並んでいました。

 

セールスの方に「すぐに乗れる車はありますか」と尋ねると、「あそこにあるラベンダー色のミラココアなら、今すぐでも手続きできますよ」と案内されました。

 

 

 

その車を見た瞬間、特に深く考えることなく「じゃあ、それでお願いします」と即決してしまいました。

 

色もデザインも特に吟味せず、ただ目の前にあったからという理由だけで選んだのです。

 

来店から30分もかからないうちに、購入の手続きは完了していました。

 

 

 

購入金額は一括で親に立て替えてもらい、毎月2万円ずつ返済するという形を取りました。

 

社会人になったばかりだった私には、大きな買い物でしたが、親のサポートがあったおかげで、無理なく購入することができました。

 

 

 

翌日には納車され、私の新しい相棒となったラベンダー色のミラココア。

 

こうして予想外の出会いから、私とミラココアの10年間の歴史が始まったのです。

 

 

 

家族でのお出かけに欠かせない存在になっていたラベンダー色のミラココア

新車の香りが漂う車内で初めてハンドルを握った時の気持ちは今でも覚えています。

 

以前の車と比べて視点が高く、運転がしやすいと感じました。

 

何より新車特有の安心感があり、エンジン音も静かで快適でした。

 

 

 

ただ、私が男性であるということと、ラベンダー色という組み合わせは、周囲の友人たちには少し意外だったようです。

 

よく「なんで、この色にしたの?」と尋ねられました。

 

そのたびに「この車がお店にあったから」と答えていましたが、実は次第にこの色が気に入ってきていました。

 

駐車場でもすぐに見つけられるし、何より他とは違う個性を感じられたからです。

 

 

 

通勤だけでなく、週末のドライブにも活躍してくれました。

 

燃費も良く、維持費も安かったので、気軽に遠出することができました。

 

山や海、温泉地など、ミラココアと一緒に訪れた場所は数え切れません。

 

その当時の写真を見返すと、必ずと言っていいほどラベンダー色の車が写り込んでいて、まさに旅の相棒でした。

 

 

 

恋人(今の妻)とのデートにも、このミラココアを使いました。

 

最初は「かわいい車だね」と笑われましたが、そのうち「この色、意外と似合ってるよ」と言われるようになりました。

 

プロポーズしたのも、このミラココアの中でした。

 

長野の山道をドライブしている時、景色の良い場所で車を止め、「一緒に人生を歩んでくれないか」と伝えたのです。

 

 

 

結婚後も、私たちの生活を支えてくれたミラココア。

 

引っ越しの時も、小さいながらも驚くほどの量の荷物を詰め込むことができました。

 

そして、子供が生まれてからは、家族の足として大活躍してくれました。

 

 

 

子供が生まれて初めてのドライブは、緊張しながらもゆっくりと運転したのを覚えています。

 

チャイルドシートを装着し、後部座席に赤ちゃんを乗せる時の慎重さといったら、まるで宝物を運ぶかのようでした。

 

そのうち子供も成長し、「パパの紫の車」と呼ぶようになりました。

 

休日には動物園や水族館、公園など、家族でのお出かけに欠かせない存在になっていました。

 

 

 

最後の別れと10年間の詰まった思い出

時は流れ、購入から10年近くが経ちました。

 

定期的にメンテナンスをしていたものの、さすがに走行距離も増え、あちこちに経年劣化が見られるようになっていました。

 

 

 

そして、ある週末の家族旅行の帰り道、高速道路を走行中に突然、ボンネットから煙がモクモクと上がり始めたのです。

 

「何かおかしい」と感じたその瞬間、車が急に加速しなくなりました。

 

幸い、すぐに路肩に停車することができました。

 

 

 

家族が乗っていただけに、本当に冷や汗をかきました。

 

車を停めるとボンネットからの煙は次第に収まりましたが、エンジンをかけ直すことはできませんでした。

 

JAFを呼び、レッカー車で購入した自動車販売店まで運んでもらうことにしました。

 

 

 

販売店での診断結果は厳しいものでした。

 

エンジンの重要な部分が損傷しており、修理するにはかなりの費用がかかるとのこと。

 

車の年式を考えると、修理するよりも新しい車に買い替えた方が良いというアドバイスを受けました。

 

 

 

数日間悩みましたが、最終的に修理は諦め、新しい車を探すことにしました。

 

10年間、様々な思い出を作ってくれたラベンダー色のミラココアとのお別れは、予想以上に寂しいものでした。

 

 

 

結婚して、子供が生まれて、家族でいろいろな場所へドライブに行った思い出がつまった車でした。

 

初めてのデート、プロポーズ、子供の笑顔、家族旅行…全てに寄り添ってくれた相棒でした。

 

 

 

最後に車を引き取られる日、私は一人でディーラーに行き、最後にもう一度座席に座りました。

 

ステアリングに手を置き、これまでの思い出が走馬灯のように駆け巡りました。

 

「ありがとう」と心の中でつぶやき、キーをディーラーのスタッフに渡しました。

 

 

 

今では新しい車に乗っていますが、ラベンダー色のミラココアとの日々は特別な思い出として心に残っています。

 

街中で同じミラココアを見かけると、つい目で追ってしまうのは、きっとそのためでしょう。

 

 

 

予期せぬ出会いから始まった私たちの物語。

 

「この車がお店にあったから」という何気ない理由で選んだラベンダー色のミラココアは、私の人生の大切な一ページを彩ってくれました。

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