就職後に初めて買った車は中古の日産マーチ

人生の節目には、様々な「初めて」が訪れるものです。

 

初めての一人暮らし、初めてのスーツ、初めての給料、そして私にとって大きな意味を持っていたのが、初めての愛車との出会いでした。

 

社会人としてのスタートを切った私が選んだのは、コンパクトで親しみやすい中古の日産マーチ。

 

今振り返れば、あの車との日々は私の社会人生活の基盤を作ってくれた大切な時間だったと感じています。

 

 

 

自分の車として3年落ちの日産マーチを購入

大学1年次の時に自動車の運転免許証を取得しました。

 

当時は特に車を持つ予定はなかったのですが、「早いうちに取っておいた方が良い」という親のアドバイスに従っての行動でした。

 

免許を取得した後は、実家暮らしだった大学生活の間、親の車を時々借りて運転する程度でした。

 

主に買い物や友人との外出など、限られた用途での使用です。

 

 

 

親の車は少し古い軽自動車で、決して走りが良いわけでも、見た目がかっこいいわけでもありませんでしたが、大学生の私にとっては十分すぎるほどの移動手段でした。

 

友人たちと海や山へドライブに行くこともあり、その度に親に借りる手続きが少し面倒に感じることもありましたが、自分の車を持つという発想はまだありませんでした。

 

 

 

しかし、大学を卒業して就職が決まった時、生活環境の変化と共に「自分専用の車が必要かもしれない」と考えるようになりました。

 

就職先は郊外にある会社で、最寄り駅からは徒歩20分ほど。

 

電車通勤を基本としつつも、悪天候の日や荷物が多い日など、状況によっては車があった方が便利だと思ったのです。

 

 

 

また、社会人になるという節目に「自分の車を持ちたい」という単純な憧れもありました。

 

就職活動中に内定をもらった時から、「お給料の一部で車を買おう」と密かに計画していたことを覚えています。

 

 

 

ただ、現実は厳しいものでした。

 

就職をしたばかりの新入社員の給料では、新車を購入するのはかなりハードルが高いことがすぐに分かりました。

 

住居費や生活費、そして社会人としての付き合いなど、出ていくお金は想像以上に多く、新車のローンを組むのは正直無理がありました。

 

 

 

そこで選んだのが中古車という選択肢です。

 

「最初の車は中古で十分」という先輩のアドバイスもあり、中古車販売店を巡り始めました。

 

予算は100万円以下。

 

燃費が良く、維持費が安く、そして初心者でも運転しやすい車を探していました。

 

 

 

いくつかの候補を検討した結果、最終的に選んだのが日産のマーチでした。

 

3年落ちで走行距離は4万キロほど。

 

赤いボディカラーが少し目立つものの、全体的に状態は良く、試乗した時の取り回しの良さに惹かれました。

 

何より、65万円という価格が私の予算内で収まったことが決め手となりました。

 

 

 

購入手続きを進める中で、初めてのローン契約に少し緊張しましたが、月々の返済額は1万5千円程度と、私の給料から考えても無理のない金額でした。

 

ディーラーで鍵を受け取った日の喜びは今でも鮮明に覚えています。

 

「これが自分の車だ」という実感と共に、社会人としての第一歩を踏み出した気持ちになりました。

 

 

 

コンパクトカーの乗りやすさと燃費の安さを実感

マーチを購入してからの生活は、想像以上に快適なものでした。

 

コンパクトなボディサイズは、運転歴の浅い私にとって扱いやすく、特に駐車が苦手だった私にとっては大きな利点でした。

 

狭い駐車場でも難なく停められるサイズ感が、当時の私には本当にありがたかったのです。

 

 

 

通勤は基本的に電車を利用していました。

 

マイカー通勤も選択肢としてはあったのですが、会社周辺の駐車場代が高く、また朝の渋滞を考えると、電車の方が時間的にも経済的にも合理的だったからです。

 

そのため、平日はほとんど車を使う機会がありませんでした。

 

 

 

しかし、週末は別でした。

 

土日になると、当時付き合っていた彼女とマーチでドライブに出かけることが定番になっていました。

 

彼女も運転免許を持っていましたが、自分の車は持っていなかったため、「二人で出かける時は私が運転する」という暗黙のルールができていました。

 

 

 

近郊のショッピングモールへ買い物に行ったり、少し足を伸ばして海辺のドライブコースを走ったり、時には日帰り温泉を楽しんだり。

 

マーチでの小さな冒険は、仕事の疲れを癒してくれる大切な時間でした。

 

 

 

特に印象に残っているのは、付き合って半年記念に行った伊豆へのドライブです。

 

初めての長距離運転で少し不安もありましたが、マーチの安定した走りのおかげで、心地よいドライブを楽しむことができました。

 

山道でのコーナリングも思ったより軽快で、コンパクトカーの利点を実感した旅でした。

 

 

 

燃費の良さも大きな魅力でした。

 

私のマーチはリッター当たり15キロメートル以上走る省燃費車で、給油の頻度も少なく経済的でした。

 

当時はまだお金に余裕がなかった私にとって、維持費の安さは本当にありがたいことでした。

 

税金や保険料も比較的安く、初めて車を持つ社会人にとって、負担の少ない選択だったと思います。

 

 

 

ただし、中古車ならではの悩みもありました。

 

購入から半年ほど経った頃、エアコンの調子が悪くなり、修理に予想外の出費がありました。

 

また、細かな傷や内装の経年劣化など、新車では味わわない「個性」も随所に見られました。

 

それでも、「自分の車」という喜びを考えれば、それらの小さな不満は大したことではありませんでした。

 

 

 

日産マーチから次の車へ

マーチとの生活が続く中で、徐々に「次の車」への憧れも生まれてきました。

 

それは彼女の一言がきっかけでした。

 

ある日のドライブ中、「次に車を買うなら、もう少し大きい車の方がいいね」と彼女が言ったのです。

 

確かに、二人でのドライブは快適でしたが、後部座席に友人を乗せると少し窮屈に感じることもありました。

 

 

 

また、中古車ということもあり、長年乗り続けるにはいずれ大きな修理が必要になるかもしれないという不安もありました。

 

マーチを購入した時点で既に3年落ちだったことを考えると、5年以上乗り続けるのは現実的ではないかもしれないと思うようになりました。

 

 

 

そこで、マーチに乗りながらも、次の車のための準備を始めることにしました。

 

具体的には、毎月の給料から一定額を「車購入資金」として別に貯金するようにしたのです。

 

当初は月に2万円程度からスタートしましたが、徐々に額を増やしていきました。

 

 

 

彼女との会話の中で、次に欲しい車についても徐々に具体的なイメージが形成されていきました。

 

「もう少し大きくて、長距離ドライブも快適で、できれば新車で」という漠然とした希望から始まり、具体的な車種や予算についても考えるようになりました。

 

カタログを集めては眺める習慣もつき、車への知識も少しずつ深まっていきました。

 

 

 

マーチでの生活は、私にとって車の魅力や必要性を再認識するきっかけにもなりました。

 

通勤には使っていなかったものの、週末の行動範囲は車を持つ前と比べて格段に広がり、生活の質も向上したと感じていました。

 

次の車ではさらに可能性を広げたいという思いが強くなっていったのです。

 

 

 

マーチとの日々は、私の社会人としての成長と並行して進みました。

 

初任給で喜んでいた新入社員から、少しずつ仕事にも慣れ、将来を見据えて計画を立てられるようになった私。

 

マーチはその成長を見守り、支えてくれた最初の相棒でした。

 

 

 

今振り返ると、中古のマーチを選んだあの決断は、私にとって正解だったと思います。

 

無理のない範囲で車を持つ喜びを知り、次のステップへの準備をする余裕も持てた。

 

コンパクトで経済的なマーチは、社会人1年目の私にとって、まさにぴったりの選択だったのです。

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