初めての車だったのに燃費偽装が発覚した日産デイズ

人生で初めて自分のお金で購入した車には特別な思いが込められるものです。

 

夢と期待を胸に選んだ一台が、思わぬ形で裏切られるとき、その衝撃と複雑な感情はどのようなものでしょうか。

 

これは私と日産デイズの、喜びと失望が入り混じった物語です。

 

 

 

コンパクトでも室内空間が広い日産のデイズ

初めて自分のお金で買った車は日産のデイズでした。

 

社会人になって数年、徐々に貯金も増え、ついに「自分の車を買おう」と決意した瞬間は今でも鮮明に覚えています。

 

 

 

それまでは就職するときに親に買ってもらった中古の車に乗っていました。

 

10年近く乗った小型セダンは、走行距離も10万キロを超え、あちこちに経年劣化の跡が見られるようになっていました。

 

エアコンの効きも悪くなり、カーナビも古いタイプで使い勝手がよくありませんでした。

 

「そろそろ買い替え時かな」と考え始めたのが、デイズとの出会いのきっかけでした。

 

 

 

車選びは非常に慎重に行いました。

 

様々なメーカーのカタログを取り寄せ、休日にはディーラーを巡って実際に車を見て回りました。

 

コンパクトで燃費が良く、街乗りに便利な車が欲しいと考えていた私の目に留まったのが、日産デイズのスタイリッシュなデザインでした。

 

 

 

特に気に入ったのは、コンパクトなボディでありながらも室内空間の広さが確保されていること。

 

また、先進的な安全装備が充実していることも大きな魅力でした。

 

何より、カタログに記載されていた燃費の良さは、経済的な面でも大きなアピールポイントになっていました。

 

 

 

ディーラーでの試乗体験も良好でした。

 

取り回しやすいサイズ感、静かなエンジン音、そして軽快な加速感。

 

これまで乗っていた古い車と比べると、格段に運転が楽しくなりそうだと感じました。

 

 

 

購入を決意した後は、ボディカラーやオプションの選択に頭を悩ませました。

 

これまでは他人が選んだ車に乗っていただけでしたが、今回は全て自分で決められる喜びがありました。

 

色は迷った末にパールホワイトを選び、ナビゲーションシステムや後部座席モニターなど、いくつかのオプションも追加しました。

 

 

 

「この車に買い替えたら色々なところに遊びに行こう」と思い、高性能なナビゲーションシステムをつけることにしたのです。

 

旅行が好きな友人と遠出したり、気になっていた観光スポットに出かけたりする計画を立てては、納車を待つ日々を過ごしました。

 

 

 

待望の納車日、ディーラーで新車の鍵を受け取った時の喜びは言葉では表現できないほどでした。

 

ピカピカに磨かれたボディ、新車特有の香り、そして「これは自分で選んで、自分のお金で買った車だ」という達成感。

 

初めて自分でハンドルを握りながら帰路についた時は、大人になった実感と共に大きな満足感がありました。

 

 

 

まさかの燃費偽装という衝撃

新車の喜びに浸る日々は、しかし長くは続きませんでした。

 

デイズを購入してから数ヶ月後、衝撃的なニュースが飛び込んできたのです。

 

日産を含む自動車メーカーの燃費データ偽装問題が発覚しました。

 

そして、その対象車種の中に私のデイズも含まれていたのです。

 

 

 

朝のニュースでその報道を見た時は、最初は信じられませんでした。

 

「まさか自分の車が…」という思いと共に、カタログの燃費値を信じて購入を決めた自分自身への後悔の念も湧き上がりました。

 

 

 

購入時の決め手となったのは、デザインと燃費の良さでした。

 

特に燃費については、経済的で環境にも優しいという点を重視していました。

 

それが実際よりも良く見せるために偽装されていたと知った時のショックは大きかったです。

 

 

 

思い返せば、購入時にディーラーのセールスの方が「書いてある通りの燃費にはなりませんよ。

 

街乗りだとそんなもんですよ」と言っていたことが妙に引っかかりました。

 

当時は「まあ、カタログ値は理想的な条件で測定しているからね」と軽く受け流していましたが、今思えばその言葉には別の意味があったのかもしれません。

 

なんだか最初から嘘をつかれていた気分になり、信頼関係が崩れたような感覚がありました。

 

 

 

ニュースを見た後、すぐにディーラーに電話をしました。

 

担当者は事実関係を認めつつも、詳細については「本社からの正式な通達を待っている」との回答でした。

 

その後、日産から正式に補償金が支払われることになりましたが、お金の問題ではないという思いが強かったです。

 

 

 

せっかく好きで乗っていた車だったのに、この問題のせいで何か傷がついてしまったような気分でした。

 

道を走るたびに「この車の燃費は偽装されていたんだ」という思いが頭をよぎり、純粋に運転を楽しむことができなくなっていました。

 

 

 

最も残念だったのは、ディーラーからの対応でした。

 

補償金の案内はあったものの、個人的な謝罪の言葉はほとんどありませんでした。

 

セールスの方も上からの指示に従っていただけなのでしょうが、これまで良好な関係を築いてきたと思っていただけに、その対応の冷たさにも心が痛みました。

 

 

 

複雑な思いと変わらぬ愛着

燃費偽装問題が発覚してから、私のデイズへの気持ちは複雑なものになりました。

 

一方では裏切られたという失望感と、他方では初めて自分で選んだ車への愛着。

 

相反する感情が日々の中で揺れ動いていました。

 

 

 

補償金をもらったことで経済的な損失は埋め合わせされたとも言えますが、心の傷は簡単には癒えませんでした。

 

ときには「この車を手放して、別のメーカーの車に乗り換えようか」と考えることもありました。

 

 

 

しかし、日々の生活の中で、デイズは確かに私の相棒として役割を果たしてくれていました。

 

運転のしやすさや快適性は間違いなく優れていましたし、購入時に気に入ったデザインの良さも変わりません。

 

また、結局のところ、当初の計画通りにはあまり遠出することはなく、主に通勤や買い物などの日常使いが中心だったため、燃費の差もそれほど大きな影響はありませんでした。

 

 

 

思えば、私は元々出不精な性格で、「新しい車を買ったら遠出しよう」と思っていても、実際にはあまり活躍の機会を与えられていなかったのかもしれません。

 

高性能なナビゲーションシステムを取り付けたものの、使用頻度はそれほど高くなく、少しもったいない気もしています。

 

 

 

時間が経つにつれ、燃費偽装問題へのショックも徐々に薄れていきました。

 

それよりも、日々の生活の中でデイズと過ごす時間、慣れ親しんだシートの感触、ハンドルを握る安心感などが、改めて大切に思えるようになってきたのです。

 

 

 

結局のところ、なんだかモヤモヤした気持ちを抱えつつも、乗り慣れているという安心感と、初めて自分で買った車という特別な思いが勝りました。

 

今でもデイズを手放す気にはなれません。

 

むしろ、この問題を経験した分、より深い絆で結ばれたような気さえしています。

 

 

 

燃費偽装問題は消費者の信頼を裏切る大きな問題でしたが、個々の車と持ち主の関係はそれだけでは語れない複雑なものです。

 

私にとってデイズは、単なる移動手段ではなく、初めて自分の選択と責任で手に入れた大切な相棒なのです。

 

これからもメンテナンスを欠かさず、大切に乗り続けていこうと思います。

 

 

 

時には思いがけない失望に見舞われることもありますが、それでも自分の選択を信じて前に進むこと。

 

私とデイズの物語は、そんな人生の一側面を教えてくれたのかもしれません。

このページの先頭へ戻る